Orange Pi 5 は標準で Wi-Fi を備えていません。仮に備えていたとしても技適の問題で使うことは難しいでしょう。簡単に Wi-Fi を使うには USB 接続のものを採用するのがよいと思いますが、ここでは、せっかく M.2 スロットがある Orange Pi 5 なので Intel AX200 を接続してみたいと思います。
Intel AX200
Intel AX200 はWi-Fi6 に対応した M.2 に接続する Wi-Fi ボードです。Type 2230 の Key A-E のボードです。現在の最新は AX210 ですが、今回手元には余っていなかったのでこちらは未検証です。まだ AX200 のものを購入はできるみたいです。
AX201 や AX211 というものがありますが、おそらく末尾が “1” となっているものは使用不可能です。それらは特定のCPU/チップセットと組み合わせて使用する用みたいです。
変換ボード
Orange Pi 5 には M.2 スロットがありますが、これは NVMe SSD を装着することが主目的と考えられ、 Key-M となっています。そのため、 Key A-E の Wi-Fi ボードは装着することができません。
しかし、 Key-M であっても PCIe のバスが出ていますし、 Key A-E もまた PCIe バスを使いますので、変換すれば信号としてはつながりそうです。ということでその変換ボードを探して装着することにしました。 今回使用したものが以下のボードです。
調べてみると類似商品は他にもあるようです。
これらの変換ボードで USB 用の線が出ていますが、これは Key A の USB 部分に対応するためだと私は考えています。 今回この線を未接続にした場合、使用不可能となるのは Bluetooth 部分だけで、 Wi-Fi 部分はそのまま使用可能でした。
装着の様子
冒頭でも示していますが、変換ボードに AX200 を装着して、それから Orange Pi 5 に装着しました。 Orange Pi 5 に装着の時には特にうまく固定できる穴などはなかったので、実用する際には何らかの方法で固定が必要になると思います。
OS に認識させて使用する
今回使用しているのは Debian 11 (Orange Pi 1.0.6 Bullseye with Linux 5.10.110-rockchip-rk3588) です。これは公式ページから取得したイメージを用いています。
単純にハードウェアを接続した状態であっても、以下の通り AX200 の認識はできていますが、 無線LAN アダプタの情報は出現しませんでした。
orangepi@orangepi5:~$ lspci
0004:40:00.0 PCI bridge: Fuzhou Rockchip Electronics Co., Ltd Device 3588 (rev 01)
0004:41:00.0 Network controller: Intel Corporation Wi-Fi 6 AX200 (rev 1a)
ログを覗いてみると、以下のようなメッセージが出力されていました。どうやらファームウェアのロードに失敗しているようです。
iwlwifi 0004:41:00.0: Direct firmware load for iwlwifi-cc-a0-59.ucode failed with error -2
iwlwifi 0004:41:00.0: Direct firmware load for iwlwifi-cc-a0-58.ucode failed with error -2
....
そこで、 Intel のサイトからファームウェアをダウンロードします。 https://www.intel.com/content/www/us/en/support/articles/000005511/wireless.html のページから、 対応するものを見つけてダウンロードします。今回は iwlwifi-cc-46.3cfab8da.0.tgz のファイルをダウンロードしました。
このファイルに含まれている iwlwifi-cc-a0-46.ucode ファイルを Orange Pi 5 の /lib/firmware のディレクトリにコピーしておきます。あとは再起動をすると Wi-Fi が使えるようになります。再起動後のログを確認してみると以下のようなメッセージが出現しているはずです。
iwlwifi 0004:41:00.0: loaded firmware version 46.3cfab8da.0 cc-a0-46.ucode op_mode iwlmvm
iwlwifi 0004:41:00.0: Detected Intel(R) Wi-Fi 6 AX200 160MHz, REV=0x340
iwlwifi 0004:41:00.0: base HW address: xx:xx:xx:xx:xx:xx
iwlwifi 0004:41:00.0 wlP4p65s0: renamed from wlan0
また、 ip コマンドでも対応するアダプタ (今回の場合 wlP4p65s0) が出現していることがわかります。
$ ip link
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN mode DEFAULT group default qlen 1000
link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
2: eth0: <NO-CARRIER,BROADCAST,MULTICAST,UP> mtu 1500 qdisc mq state DOWN mode DEFAULT group default qlen 1000
link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
3: wlP4p65s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP mode DORMANT group default qlen 1000
link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
まとめ
Orange Pi 5 で NVMe SSD を装着するよりも先に Key A-E の Wi-Fi アダプタを装着して動作させることにトライしてみました。変換アダプタの選択をミスしなければ動くような気がしていたので、うまくいってよかったです。 変換アダプタが挟まるときれいに収まりませんが、そこだけ何とか出来れば、意外と使えるのではないでしょうか。
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